フッ素塗料の特徴と相場価格・コスパ。本当にメリットはあるのか?

フッ素塗料で失敗しない住宅塗装|特徴・相場価格・コスパ・メリット・デメリット

住宅塗装で最も重要になるのが「塗料の選定」です。

どの塗料を選ぶかによって家の耐久年数や次回の塗り替え時期が決まるため、この選択を見誤ると間違いなく後悔します。

そこで今回は、塗料の中でも高級な「フッ素塗料」について詳しく解説します。「高いお金を払ってフッ素で塗装したのに失敗した」となりたくない方だけ読んでください。

本記事を読めば、フッ素塗料の特徴や種類、相場価格、他の塗料と比較した場合のメリット・デメリットなどが理解でき、自宅には本当にフッ素が適しているのか?などの疑問も解決できるはずです。

目次

フッ素塗料の歴史と実績

※フッ素樹脂は、天然資源である「蛍石(ほたるいし)」から作られています。

そもそも、住宅塗装におけるフッ素塗装とはどういったものなのか?フッ素塗装を検討されているのなら、ぜひ以下の内容ぐらいは知っておきましょう。

フッ素塗料の歴史

フッ素塗料は、40年以上前から使われている長い歴史と実績のある塗料です。

フッ素塗料の歴史
  • 1938年:米デュポン社によって初めてフッ素塗料の元となる「フッ素樹脂」が発見される。
  • 1982年:日本企業の旭硝子が世界で初めて塗料としての製品化に成功。

各塗料の歴史比較表

スクロールできます
塗料の種類世界初日本
アクリル樹脂塗料1927年〜(ドイツ)1959年〜
ウレタン樹脂塗料1937年〜(ドイツ)1956年〜
シリコン樹脂塗料1947年〜(ドイツ)1953年〜
ラジカル制御塗料2012年〜(日本)2012年〜
フッ素樹脂塗料1982年〜(日本)1982年〜
無機塗料2006年〜(日本)2006年〜
断熱塗料1996年〜(米国)1998年〜
遮熱塗料1976年〜(米国)1979年〜
※無機塗料に関しては種類も多く、定義が曖昧なため、近年の耐候性の高い塗料に限定。

フッ素塗装の施工実績

フッ素塗料を用いて塗装した代表的な建造物には、東京スカイツリー六本木ヒルズレインボーブリッジ幕張メッセなどがあります。

フッ素塗料が出始めの頃は、塗料一缶あたり20万円以上と、かなり高額な商品だったため、主に公共事業や大型船の塗装、高層ビル・マンションなどで使用されていました。

これらの大型建造物は、足場を架けるだけでも数千万円、数億円の費用がかかるため、できる限り長く持つフッ素塗料を使用することで、塗装工事の回数を減らせるというメリットがあったわけです。

そんなフッ素塗料も、実績の数とともに徐々に価格帯も下がり、2000年あたりからようやく一般家庭でも手が届く範囲になり、現在では住宅塗装でも欠かせない人気塗料になったという感じです。

フッ素塗料の3つの特徴

では次に、フッ素塗料の特徴についてみていきましょう。

1. 耐久性に優れている

フッ素塗料の最大の特徴は耐久性です。他塗料よりも防水力が高くて、外壁や屋根の色あせなども起こりにくく、お住まいを綺麗な状態で長く維持できます。

フッ素塗料の期待耐用年数は13〜18年ほどで、現存する塗料の中では無機塗料に次いで2番目に長く持つ塗料です。

各塗料の期待耐用年数

各塗料の耐用年数表
塗料の種類期待耐用年数
ウレタン樹脂塗料5〜8年
シリコン樹脂塗料7〜12年
ラジカル制御塗料8〜13年
フッ素樹脂塗料13〜18年
無機塗料15〜20年
※塗料の期待耐用年数はメーカーや商品により異なります。なお、上記は「一般住宅向け」の塗料を対象にしています。

2. 汚れにくい

フッ素塗料は熱に強く、汚れが付きにくい特徴があります。フライパンのテフロン加工(フッ素)に代表されるように、住宅用フッ素塗料もそれと同様の特性を持っています。

ちなみに、フライパンのテフロン加工は300℃以上の熱を使用した「焼付塗装」なんですが、住宅で使用されるフッ素塗料は「常温乾燥(自然に乾燥させる)」タイプです。

本当はフライパンのように焼付塗装をしたほうがより強力なんですが、さすがに300℃の熱を加えたら家が燃えてしまいますんで出来ないわけです(笑)

3. コスパが良い

フッ素塗料は、一回の塗装にかかる工事費用だけを比較すると他の塗料より割高です。しかし、長く持つフッ素は、長期的にみると塗装工事の回数を減らすことができるため、非常に経済的でコストパフォーマンスに優れています。

塗料別のランニングコスト表(新築から40年間)

フッ素塗料とその他の塗料のコスパ・ランニングコスト比較表
ウレタン塗料は40年間で5~6回塗り替え工事が必要なのに対し、フッ素は2~3回と半分で済む。

このように、フッ素塗料は耐久性、汚れにくさ、そしてコスパの良さという点で非常に優れた塗料です。

フッ素塗料の相場価格

フッ素塗料は高性能であるため、その価格も他の塗料と比べて高くなります。以下は、他の塗料とフッ素塗料の相場価格を比較した表です。

各塗料別 相場価格 比較表

塗料の種類平米単価(m2)塗料一缶の価格
アクリル樹脂塗料1,000~1,500円5,000~10,000円
ウレタン樹脂塗料1,500~2,500円8,000~28,000円
シリコン樹脂塗料2,000~3,800円13,000~46,000円
ラジカル制御型塗料2,500〜3,800円14,000〜38,000円
フッ素樹脂塗料3,500~5,000円42,000~98,000円
無機塗料4,000〜6,500円70,000〜130,000円
※上記単価は地域や業者、現場状況などにより変わります。目安としてお使いください。

塗料の価格だけで比較すると、フッ素はシリコンの2倍以上です。しかし、塗装工事というのは塗料代だけではありません。どの塗料で塗っても足場代や人件費は変わらず必要になりますので、トータル的に見るとそこまで差は出ないんですよね。

では、実際にフッ素を使って塗装すると総額どのくらいの工事費が必要なのか、具体例を出してみていきましょう。

外壁面積150m2(約40坪)のお住まいの塗装工事費(目安)

塗料の種類工事費(外壁150m2)
アクリル樹脂塗料60~68万円
ウレタン樹脂塗料68~83万円
シリコン樹脂塗料75~100万円
ラジカル制御型塗料83〜100万円
フッ素樹脂塗料98~120万円
無機塗料105〜140万円
※上記工事費は地域や業者、現場状況などにより変わります。目安としてお使いください。

このように、フッ素塗料は他の塗料に比べて高価ですが、その分耐久性に優れているため、長期的に見るとかなりコストパフォーマンスが高い塗料と言えます。

フッ素塗料はどんな方におすすめ?

フッ素塗料は高性能な塗料として多くの利点を持ち、特定のニーズや条件に応じて非常に適しています。以下のような方に特におすすめです。

1. 長期間メンテナンスを避けたい方

フッ素塗料は耐久性が非常に高く、13〜18年ほどの長寿命を誇ります。長期間にわたって外壁や屋根を美しく保ちたい方には最適です。頻繁なメンテナンスが不要なため、時間と手間を節約できます。

2. コストパフォーマンスを重視する方

初期費用は他の塗料よりも高いですが、フッ素塗料は長期間にわたりメンテナンスが不要であるため、トータルコストで見ると経済的です。長期的な視点でコストパフォーマンスを考える方には、非常に優れた選択肢です。

3. 美観を重視する方

フッ素塗料は色あせや変色が少なく、美しい外観を長く保ちます。住宅の外観を常に美しく保ちたい方、特にデザインや色合いにこだわりのある方におすすめです。

4. 汚れにくい外壁を望む方

フッ素塗料は、汚れがつきにくく、清掃の手間を減らすことができます。特に、車や工場の排気ガス、雨風による汚れが気になる環境に住んでいる方に最適です。外壁を常にきれいな状態に保ちたい方にぴったりです。

5. 厳しい気候条件に住んでいる方

フッ素塗料は耐候性に優れており、紫外線や酸性雨の厳しい気候条件や交通量の多い通り沿いの立地、海などの塩害環境にも効果的です。

6. 資産価値を保ちたい方

住宅の外観は資産価値にも大きく影響します。フッ素塗料を使用することで、住宅の美しさと耐久性を保ち、資産価値を維持または向上させることができます。将来的に家を売却する予定がある方にもおすすめです。

まとめ:フッ素塗料は本当にメリットがあるのか?

ということで今回は、住宅塗装で使用される「フッ素塗料」について解説してきました。改めてフッ素塗料のメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。

フッ素塗料のメリットとデメリット

メリットデメリット
15年は塗り替えしなくて良い
塗装工事の回数が減らせる
汚れにくく色あせしにくい
長期的に見るとコスパが高い
1回分の塗装工事費が高い
高額なので失敗はできない
優良業者に工事してもらうべき

フッ素塗装のメリットを最大限生かすためには、やはり「信頼のおける良い塗装業者」で、かつ「質の良いフッ素塗料を選ぶ」ことがとても重要になります。

フッ素塗料の選び方と種類についてはこちら

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この記事を書いた人

25年の住宅塗装経験を持つ元塗装会社社長。年商6億円を達成し、大規模な事業を運営。現在は、小規模塗装会社を対象に、下請け脱却とSEO集客支援を行うコンサルタントとして活動。

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