そのフッ素塗装、本当に高性能?フッ素塗料の種類と選び方

そのフッ素塗装、本当に高性能?フッ素塗料の種類と選び方

一度塗装すれば、約15年間は塗装しなくても済むといわれる「フッ素塗料」。でも、実はフッ素塗料にもいろんな種類があるんです。

「フッ素ならどれも同じでしょ?」と思っていたなら、それはちょっと危ないかもしれません。下手をすると、シリコンより性能が低いフッ素塗料を選んでしまうこともあり得ます。

そこで、この記事では、フッ素塗料で外壁塗装を考えている方に向けて、フッ素塗料の種類や性能ランクの見分け方、そして失敗しない選び方をお伝えします。

これからご紹介するポイントを押さえて、あなたが選ぼうとしている、または業者さんが勧めてくるフッ素塗料が、どの性能ランクに属するのかをしっかり見極めてください。

フッ素の基本情報はこちら

目次

フッ素塗料の種類について

1. フッ素塗料には「3フッ化」と「4フッ化」の2種類ある

まず、フッ素塗料には大きく以下2種類に分けられます。

  • 3フッ化フッ素(3Fフッ素)
  • 4フッ化フッ素(4Fフッ素)

3Fフッ素と4Fフッ素の違いは、塗料のモノマー構造の違いなんですが、難しい話はさておき、簡単にいうと4Fフッ素は3Fフッ素の上位互換版です。つまり、3Fフッ素より4Fフッ素の方が性能が高いということですね。

3Fフッ素と4Fフッ素の比較表

3Fフッ素4Fフッ素
耐候性低い高い
価 格安い高い

耐候性

3Fフッ素も、ウレタンやシリコンなどと比較すると十分に耐候性がありますが、4Fフッ素はさらに優れた耐候性がありますね。実際に10年経過した3Fと4Fで塗装したお住まいを比較してみると、やはり表面のツヤ感に違いが出ています。日当たりの良いお住まいや、ベランダ壁の色あせが目立つようなお住まいには、4Fフッ素がおすすめです。

価格面

3Fフッ素は、4Fフッ素に比べて価格が比較的安価です。予算に制約がある場合には3Fフッ素が適していますが、長期的なコストパフォーマンスや耐久性を考えるなら間違いなく4Fフッ素がおすすめです。

2. フッ素塗料には「水性」と「油性」の2タイプある

塗料には、水性と油性の2タイプあります。水性塗料は水道水で薄めて使い、油性塗料は塗料用シンナーなどの溶剤で薄めて使用するタイプですね。

水性塗料と油性塗料の比較

水性油性
耐候性低い高い
価 格比較的安い比較的高い
ニオイ少ない若干する
※本記事では分かりやすく「油性」と記載していますが、塗料カタログでは「弱溶剤」と表記されています。

フッ素塗料に限らず、どの塗料も水性タイプより油性タイプのほうが比較的性能が高い傾向にあります。油性塗料(弱溶剤)は若干ニオイがしますが、家を長持ちさせたい、高品質なフッ素塗料を選びたいって方は、迷わず油性のフッ素塗料を選びましょう。

3. フッ素塗料には「1液型」と「2液型」の2タイプある

塗料には、水道水や溶剤を混ぜてそのまま使える「1液型」と、硬化剤(塗料を半強制的に固める材料)を混ぜて使用する「2液型」の2タイプあり、1液型より2液型のほうが耐久性が高くなります。もちろんフッ素塗料も同様で、2液型のほうが長く持ちます。

1液型塗料と2液型塗料の比較 

1液型2液型
耐候性低い高い
価 格比較的安い比較的高い

2液型の方が若干価格が高いですが、費用対効果を考えれば間違いなく2液型の方が得です。特に、天候が不安定な時期には、塗料が早く固まる2液型は不具合も起きにくいはずです。

4. フッ素塗料の種類別 性能ランキング

では、これまで紹介したフッ素の種類を、分かりやすく一覧にしてまとめていきます。

まず、フッ素塗料は以下の8通りに分けられます。

フッ素塗料の種類・分類
  • 1液型・水性・3フッ化フッ素 
  • 1液型・水性・4フッ化フッ素
  • 1液型・油性・3フッ化フッ素
  • 1液型・油性・4フッ化フッ素 
  • 2液型・水性・3フッ化フッ素 
  • 2液型・水性・4フッ化フッ素 
  • 2液型・油性・3フッ化フッ素 
  • 2液型・油性・4フッ化フッ素

そして、上記8種類を性能別にランク分けすると以下のようになります。

性 能種 類
SSランク2液型・油性・4フッ化フッ素
Sランク2液型・水性・4フッ化フッ素
Aランク2液型・油性・3フッ化フッ素
1液型・油性・4フッ化フッ素
Bランク2液型・水性・3フッ化フッ素
1液型・油性・3フッ化フッ素
1液型・水性・4フッ化フッ素
Cランク1液型・水性・3フッ化フッ素
※ランク付けはあくまでも目安です。製品性能(後述している含有量%)によりランクは若干変動します。

同じフッ素塗料でも、性能がCランクの塗料は安いですし、SSランクの塗料は高くなります。特に、3フッ化と4フッ化では価格も性能もかなり違います。見積もりを比較する際には、このあたりに注意して確認しましょう。

というのも、塗装業者は基本的に「フッ素塗料」としか説明しませんので、勧められた塗料がどのくらいの性能を持ったフッ素塗料なのか、必ずご自身で確認した方が良いですよ。

フッ素樹脂の含有量でも塗料の性能や価格が変わる

フッ素塗料の選び方については、ここまでの項目を理解しておけばほぼ問題ないんですが、せっかくなので、最後にもう一点だけ追記しておきます。

フッ素塗料の性能を左右するもう一つの要素、それが「フッ素樹脂が塗料にどれくらい含まれているか」という含有量(がんゆうりょう)です。

極端な例を出すと、仮にフッ素樹脂が1%しか含まれていない塗料でも「フッ素塗料」として販売できちゃうわけです。もちろんそんな塗料の性能は言わずもがなです。

そして厄介なことに、含有量の詳細データは各塗料メーカーほぼ非公開、つまりブラックボックス状態なんです。

じゃぁどうやって判断したらいいの?って話ですが、解決策としては「大手塗料メーカーのフッ素塗料を選ぶ」です。なぜなら、大手はそんな馬鹿げた塗料を販売して、これまでの信頼を落とすような真似はしないためです。

ということで次項では、フッ素塗料に定評のある大手塗料メーカーと、その代表的な製品をいくつかピックアップして紹介していきます。

フッ素塗料に定評のあるおすすめ塗料メーカーと製品

以下の塗料メーカーは、いずれも長年の信頼と実績のある企業であり、フッ素塗料の選定においても間違いのないメーカーになります。

日本ペイント株式会社

日本ペイント(1881年創業)は、言わずと知れた日本で最も歴史のある塗料メーカーです。塗料の総合デパートともいえる存在で、あらゆるジャンルの塗料を幅広く取り扱っています。フッ素塗料も最高級ランクの塗料が揃っています。

性能ランク商品名種類
SSファイン4Fセラミック(外壁用)2液型 油性 4フッ化フッ素
ファイン4Fルーフ(屋根用)
サーモアイ4F(屋根用)
ピュアライド UVプロテクト 4Fクリヤー(外壁用)
Aファインフッソ(外壁用)2液型 油性 3フッ化フッ素
BパワーオーデフレッシュF(外壁用)2液型 水性 3フッ化フッ素
CオーデフレッシュF100Ⅲ1液型 水性 3フッ化フッ素

KFケミカル株式会社

KFケミカル(1951年創業)は、フッ素塗料や無機塗料など、高性能塗料を専門に扱う老舗メーカーです。もともと、某大手メーカーの高性能塗料をすべて開発していたと言われており、その製品の信頼性は間違いありません。

性能ランク商品名種類
SSセミフロンマイルドⅡ(外壁用)2液型 油性 4フッ化フッ素
セミフロンルーフⅡ(屋根用)
Aセミフロンマイルド1液型 油性 4フッ化フッ素
セミフロンルーフ
Cセミフロンアクア1液型 水性 3フッ化フッ素

ロックペイント株式会社

ロックペイントは、1931年に創業した老舗塗料メーカーです。一般の方にはそこまで認知されていまんが、業界では知らない人はいないほど有名。フッ素においても最高ランクの4フッ化フッ素を販売している数少ないメーカーです。

性能ランク商品名種類
SSサンフロンUV(外壁用)2液型 油性 4フッ化フッ素
クリスタルロック UVガードフッ素クリヤー(外壁用)
サンフロンルーフ(屋根用)
シャネツロックルーフF(屋根用)
Cサンフロンアクア(外壁用)1液型 水性 3フッ化フッ素

エスケー化研株式会社

エスケー化研(1955年創業)は、建築用塗料分野で国内シェアNo. 1を誇る塗料メーカーです。高性能でありながら、お財布に優しい低価格帯の塗料を数多く提供しています。

性能ランク商品名種類
Aクリーンマイルドフッソ2液型 油性 3フッ化フッ素
プレミアムUVクリヤーF
B水性セラタイトF2液型 水性 3フッ化フッ素

関西ペイント株式会社

関西ペイント(1918年創業)は、日本三大塗料メーカーの1社であり、2023年度の売上高では日本ペイントに次いで国内第2位を誇ります。住宅用から工業用まで、幅広い塗料を提供しているのが特徴です。

性能ランク商品名種類
AセラMフッソ(外壁用)2液型 油性 3フッ化フッ素
アレスクール2液F(屋根用)
BアレスアクアセラフッソⅡ(外壁用)2液型 水性 3フッ化フッ素

菊水化学工業株式会社

菊水化学工業(1959年創業)は、外装用塗料の専門メーカーとして多くの信頼を得ています。4フッ化フッ素塗料の取り扱いはありませんが、どのフッ素塗料も高い耐久性と美観を両立しています。

性能ランク商品名種類
AキクスイSPパワーフッ素(外壁用)2液型 油性 3フッ化フッ素
キクスイSPパワーフッ素クリヤー(外壁用)
キクスイSPパワーサーモF(屋根用)
キクスイSPパワールーフF(屋根用)

※キクスイSPパワーシリーズは、4フッ化フッ素から3フッ化フッ素に変更(ダウングレード)されています。

【参考資料】菊水化学工業 2023.1月「配合変更のお知らせ」

スズカファイン株式会社

スズカファイン(1946年創業)は、建築塗料の分野で広く認知されています。特に水系塗料に強く、高性能で、長期間美しさを保つことができます。

性能ランク商品名種類
AワイドエポーレF(屋根・外壁用)2液型 油性 3フッ化フッ素
ワイドルーフF(屋根用)
B1液ワイドウォールF1液型 油性 3フッ化フッ素
Cウォールバリア水性F+1液型 水性 3フッ化フッ素

水谷ペイント株式会社

水谷ペイント(1922年創業)は、革新的な技術を駆使した製品を提供しています。フッ素塗料もその一環で、長寿命と優れた保護性能が特徴です。

性能ランク商品名種類
AパワーアシストクリヤーF(外壁用)2液型 油性 3フッ化フッ素
パワーフロンマイルド(屋根用)
CナノコンポジットF1液型 水性 3フッ化フッ素

以下のメーカーは、いずれも信頼と実績のある企業であり、フッ素塗料の選定において安心して選ぶことができます。あなたの外壁塗装に最適な塗料を見つける際に、ぜひ参考にしてください。

フッ素塗料の種類と失敗しない選び方まとめ

フッ素塗料には、さまざまな種類やグレードがある
  • 「3Fフッ素」<「4Fフッ素」
  • 「水性」<「油性」
  • 「1液型」<「2液型」

業者が勧めるフッ素塗料がどのランクのフッ素に当たるのか、確認することが非常に重要。

フッ素塗料は、必ず「大手メーカー」の製品から選ぶこと

塗料選びでは、製造メーカーの実績(歴史)が信頼性の指標となります。大手メーカーの製品であれば、少なくとも品質に問題があるようなフッ素塗料は売られていませんので、安心して利用できます。

大手メーカー製品であれば、本記事「フッ素塗料の種類別 性能ランキング」が役立ちます。

フッ素の「性能ランク」を合わせて見積もり比較すること

見積もりを比較するときは、できるだけ同じ性能ランクのフッ素塗料で比較することが大切です。

たとえば、「1液型 水性 3Fフッ素」と「2液型 油性 4Fフッ素」では、工事価格に10万円以上の差が出ることもあります。見積もりが安いからといって安易に飛びつくと、性能の違いで後悔する可能性があります。

 

最後に、フッ素塗料は、性能が高いほど良いというわけではありません。

大切なのは、お住まいの将来設計や予算に合った最適なフッ素塗料を選ぶことです。どのくらいの性能のフッ素塗料を選ぶべきかを事前に調べ、業者任せにせず自分で判断することが成功の鍵です。

この記事を書いた人

25年の住宅塗装経験を持つ元塗装会社社長。年商6億円を達成し、大規模な事業を運営。現在は、小規模塗装会社を対象に、下請け脱却とSEO集客支援を行うコンサルタントとして活動。

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